相談事例

ネットいじめ

相談内容(2013年2月・保護者・青少年女子)

娘の悪口等を書いたメールを友だちが受け取っていたらしい。その事を友だちから聞いた娘は、現在のところ全く気に留めていない様子で、普通に学校へも行き、クラブ活動も変わりなく行っている。実名入りのメールがフリーメールを使って送られていると聞いて、大変不安に感じている。このメールは誰が出したのか突き止めたいと思うし、これが広がって行ったらどうしようと思って悩んでいる。

アドバイス

娘さん本人が激しく動揺している状況ではなさそうなことから、まず本人の知らないところでメールが送られていることを学校の担任、あるいは生活指導の先生に詳しく伝えておくべきだろうと話す。友達に話して、回ってきたメールを証拠として保存し、先生に提示するように伝えた。母親は様々な心配をしているが、状況を娘さんから無理に聞こうとせずに話すのを待つ、日常生活で変化がないかはこれまで通りに見守ってほしいと伝えた。メールの差出人を特定することは、状況から判断するに難しいだろうと伝えた。

ポイント

メールを使って他人を誹謗中傷する行為は、保護者や教師が見つけにくい場所で進行する。この事例ではメールに書かれた本人は動揺していないように見えても、この状況が長く続けば精神的なダメージが増すと予想される。学校内でのトラブルが原因である場合も考え、状況を正確に学校側へ伝える必要があるだろう。面と向かって発する言葉よりも文字によるコミュニケーションは、相手を傷つける度合いも大きいと理解するのも大切だ。保護者としては子供とのコミュニケーションを密にしながら、子供の日常生活のわずかな変化にも留意してほしい。

相談内容(2013年1月・保護者・青少年女子)

友達グループの一人のブログに、娘を非難することが書かれていることがわかった。実名は載っていないが、学校の生徒が見れば娘とわかる内容だった。別の生徒が、書いてはいけないことだとコメントを寄せて注意してくれていた。しかしその後、悪口がひどくなっていた。最初は本人同士で解決させようと様子を見ていたが、本人も落ち込んでいるので、何とかしないといけない。

アドバイス

悪口をブログに書くことはいけないことであり、本人が自覚して削除できるのが一番良い。それには娘さんや友達から直接言う、学校や相手の保護者を通すなど方法がある。削除要請以外には、完全に無視をして、動じていないことを見せるのも1つの対処法である。相手は現実でのいざこざをネットにも持ち込んでダメージを与えようとしているかもしれない。卑怯なやり方なのでそれに振り回されない気持ちも大事である。娘さんの味方をしてくれる友達もいるようなので、今のグループから離れ、ブログを見ないことで収まることも考えられる。

ポイント

学校でのトラブルがネットの悪口に発展している場合、対処としては、相手に悪口の削除を求めることであるが、この事例では書き込みを注意されたことでエスカレートしている状況であった。このため、ネット上でも学校生活でも、「見ない、相手にしない」という選択肢もあることを教示した。しかし、子供にとってはストレスを伴うことであり、保護者が見守り精神面をケアしていくことが大切だろう。学校でのいじめが悪化するようであれば、学校での対処ももちろん不可欠である。

相談内容(2012年11月・保護者・青少年女子)

娘がスマートフォンの掲示板に悪口を書かれた。内容は、いたずらの限度を超えて悪質である。書き込んだのは同級生だと分かっている。ネット上だけでなく実際にクラスの中でも浮いた存在にされているそうである。すぐに学校に連絡し、対処してほしいと訴えたが学校の姿勢に納得がいかず、今度学校へ面談に行く予定。

アドバイス

ネット上の悪口は書いた相手が確実にわかっている場合は直接本人に、悪いことだと指導できるのが一番良い。事実の確認をして生徒を管理している学校の先生から指導をしてもらえるのが望ましい。現実にもいじめの兆候があるようなので、担任の先生、学年主任、校長先生に今後どう解決していくのかについてお話してもよいと思う。書き込みをすべてプリントアウトして用意し、娘さんから聞いているクラス内での状況を学校にお話しし、いじめにどう対処するのかお話ししてほしい。

ポイント

学校でのいじめの延長でネット上でも悪口が書かれてしまった事例である。書き込みは削除できても、現実のいじめをなくし、通常の生活を取り戻せない限り本当の解決にはならない。学校と連携して、子供へのケアを行う必要があるだろう。スマートフォンやSNSの普及から、このような事例は今後も増えることが考えられ、学校においても相談体制が整備されることが望ましい。

相談内容(2012年10月・保護者・青少年男子)

子供がネット上でなりすましの悪口を書かれた。学校で対応してくれているが、自作自演だという雰囲気が流れているようで、なかなか対応が進まない。一刻も早く書き込んだ人を特定して問題解決をしたいと思っている。警察にも相談に行ったが、事件にならないと書き込んだ人を特定するのは難しいと言われた、一体どうしたら犯人を特定できるのか、弁護士なのか、どうすれば良いか教えてほしい。

アドバイス

プロバイダー責任制限法という法律で「発信者情報開示請求」というものがある。今回の場合は、サイトの運営元に請求をするのであるが、所定の様式があるので、それに沿って手続きをすることはできるとアドバイスし、様式があるURLを案内した。なお、必ず開示されるわけではないこと、本人確認等を得て審査をすると思われるので時間はかかるだろう。自身で請求するのが難しいのであれば、弁護士等に相談し、代理請求してもらうこともできる。

ポイント

ネットへのなりすましの悪口は、書き込んだ側はいたずらのつもりでも、被害者のショックは大きい。ばれないと思っても法的な手順を踏めば、誰が書いたかを調べることができることを、青少年は認識するべきであろう。このようなトラブルでは、書き込んだ本人に「悪いことをした」と気付かせ、反省を促し、削除の対処ができるとよい。学校の生徒同士の間で起きている問題ならば、学校と連携して対策を話し合うことも忘れてはならない。

相談内容(2012年7月・保護者・青少年女子)

娘は1年前、友達のブログにあだ名で悪口を書かれた。もう忘れていたが、先日学校でいじめのアンケート調査があり思い出し、このことを書いて提出した。担任の先生がすぐにヒヤリングをしてくれたが、相手の生徒が否定したようで、結局調査は進んでいない。踏み込んだ調査は行われない様子。実際にブログを見たわけではない。友達本人からパソコン画面をちらっと見せられたとのこと。どうしたらよいか?

アドバイス

相談者は、悪口のことを知ったばかりで、事実は確認できていないようだった。書き込みの場所を特定できれば削除方法を案内できる。書き込みが1年前であること、今まで娘さん自身も忘れかけていたことから、今から過去の書き込みを探して削除依頼をするのか、このまま無視できるのかを、娘さんとよく話し合うことを勧めた。現実の学校生活の中でいじめもあるのであれば、学校・教育委員会の協力を得て娘さんを守ってあげてほしい。

ポイント

悪口の書き込みには、多くの当事者が消してほしい、書き込んだ相手を罰してほしいと望むが、個人のブログで公開範囲が限定されているケースでは、書き込み自体を特定するのが難しいこともある。見えない書き込みに対しては、気にせず無視することも選択肢の一つである。一方、ネットいじめが学校での現実のいじめの延長で発生している場合は、ネットの書き込みだけでなく、現実のいじめからも子供を救済しなければならない。ネットいじめの原因、現状、学校生活について子供とよく話し合い、解決に導くことが大切である。最善の対処方法を見つけるために「こたエール」等、専門の相談窓口も活用してほしい。

※ここに掲載してある相談事例は一つの参考例として掲載したものです。
同じようなトラブルであっても、個々の状況が異なるため、解決内容もそれに従い違ってきます。